第114回 八重洲セミナー報告 「腎臓病は腎臓だけの問題ではない」

第114回 八重洲セミナー
日 時  2017年2月25日(土)13:30~16:30
会 場  あすか会議室  東京駅前八重洲口 303A

 内臓トレーニング協会に、Aさん(男性・70歳)から下記のような質問が寄せられました。この質問に対する、講師の回答について報告しましょう。

Aさんの質問「なぜ透析になるの?」

 私は、長年糖尿病を患ってきました。今年の8月に市の定期健康診断で、クレアチニン1.65、eGFR32.5という数値が出て、新たに腎臓病であることがわかりました。その後、狭心症の発作が起こったことにより、胸部に動脈瘤があることもわかりました。その際、主治医から「念のために映像を撮りたい、透析を覚悟してください」といわれました。「え、透析?クレアチニンはまだ1.65なのに・・・」、なぜ透析になるのかご教示ください。

講師の回答「動脈瘤の治療は難しい」

 動脈瘤は、形や大きさによって破裂しやすさが異なります。また、瘤が動脈硬化によるものか、血管壁の炎症によるものかも調べる必要があります。瘤の破裂が死に直結するだけに精密な検査が必要です。主治医が、映像を撮ったうえで、治療を慎重に進めようと考えていたからではないでしょうか。

クレアチニン1.30以上の人は透析を覚悟しよう

 腎臓病患者さんが血管造影剤を使用するときは、クレアチニンの数値1.30が一つの目安になっています。Aさんのように、1.30より高い場合は透析を覚悟しなければなりません。MRIやCTなどは、写真を撮るために造影剤を血管の中に注入します。注入された造影剤は、一般的に24時間かけて腎臓でろ過され、尿として体外に排出されます。このため、腎臓の血管に薬が充満して血流が滞ってしまいます。その上、腎臓は造影剤をろ過しなければならないので、過重な負担がかかってしまいます。したがって、クレアチニンが1.30以上の人は、透析に入らざるを得ないのです。

腎臓病と診断されたら  自分で治療を始めよう

 腎臓病患者さんの多くは、腎臓病ばかりでなく、多くの病気を併発しています。Aさんのように胸部静脈瘤が発見され、もし破裂寸前であれば、腎臓が壊れても手術をしなければなりません。患者さんが「透析は絶対いやだ」といっても、医師は患者を救うために、造影剤を注入せざるを得ません。言い換えれば、クレアチニンが1.30を超えた腎臓病患者は、常に透析を覚悟していなければならないということになります。
 腎臓病患者さんは、病気の初期段階から、血流改善に努め、自分で腎臓病の治療をしていくことが大切といえましょう。

 

【参加された方の感想】

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