☆透析から離脱したIさんの記録

Iさんのプロフィール

神奈川県在住のIさん(男性・78歳)は、膀胱の機能が劣化して尿が肺にまでおよび、腎臓細胞を圧迫したため腎不全と診断されました。

2012年の6月頃より足の浮腫みと体調不良となり、Cr10.68、K6.4、BNP1408.6で緊急入院しました。その後、週2回の人工透析を受けるようになりましたが、それにもかかわらず、足のむくみはひかず、透析後の疲労感に悩まされていました。

そこで、2013年10月から内臓トレーニング協会からの情報に魅力を感じトレーニングに取り組みました。

その結果、無尿だった尿が復活し、4ヶ月後の2014年2月ごろから尿量が大幅に回復し、体重も増えて体調がよくなってきました。そこで、主治医に「透析を週1回に減らしてほしい」と願い出たところ、様々な経緯を経て2017年9月に透析を中止することになりました。

以後、2018年4月までの8ヶ月間透析をしないで生活をしています。

透析を離脱するまでの病状・体調の変化

ア 透析中の病状の変化(離脱に繋がる項目のみ列記)
・腎不全で透析中(週2回)、透析を受けた日は声が出ないなど様々な苦痛を発症
・2013.10.16 主治医から「透析を週3回にする」といわれ拒否し、内臓トレーニング開始
・開始直後に尿量が1278ml、半月後にはBUN、Cr、UA全てが改善し、体調良くなる
・2ヶ月後、透析の苦痛のほとんどが軽減され、体調が良くなる
・2016.1.5 病院を変える(体調が回復しているのに透析を週3回にすると指導されたので)
・2017.4.14 透析は週2回3時間行っている
・2017.9.15 透析を止めた
・2018.5.1現在 透析はしていない

イ 体調の変化
約4年間、内臓トレーニングを実践することによって、Iさんに起こった体調の変化を、Iさん自らが、時系列でリストアップしてくれました。

① 尿の出がコンスタントに良くなり尿量に関する不安がなくなった
② 体重がドライウェイトを基準にして安定してきた
③ 透析中及び透析後のシャントの左腕や肩の、耐え難い痛みが急速に和らぎ、動きも自由になってきた
④ 透析直後の疲労感やダメージがほぼ解消されて、体力が付いてきた
⑤ 熟睡できるようになった(寝起きも楽になった)
⑥ 尿素窒素の数値が73から37に変わった
⑦ クレアチニン値は5.99から5.49と、ほぼ平行線ながらわずかに下がっている

 

 

透析中の患者が透析を離脱するに当たっての課題

 透析離脱は、体調がよくなったからといってスムーズに離脱できるものではありません。離脱するには、実践者の勇気と主治医の英断がなければ実現できません。

Iさんは、2015.8.18のドライウエイトが58.3kgでした。その後、奥さんの協力を得て、内臓トレーニングと食事療法に努め、2017.4.14にはドライウエイトが65kgとなり体力が回復し、尿量も2000cc 以上となりました。

このように体調が改善してきたので、Iさんは、主治医に「週2回の透析を1回にし、出来れば透析から離脱したい」と相談しました。それに対して主治医から、「保険診療で週1回では病院が赤字になってしまうので、自由診療に切り替えたらどうか」と提案されました。

そういいながら主治医は「Iさんは尿量が2000cc以上あるので、透析で改めて水分を抜かなくてもよいこと。Crが5.6、BUNが60であるから、今後更に毒素を減らす努力をするなら透析から離脱してみたらどうか」と、勧めてくれました。

その提案に勇気を得たIさんは思い切って透析を中断し、現在まで8ヶ月透析をしていません。ただし、透析から離脱した現在も尿毒素の管理のために定期的に通院はしています。

本物の医師は、患者の病状を的確に把握して患者の希望を受け入れる

 普通、透析病院では、1度透析に入ってしまうと患者の体調が良くても透析離脱を許可することはほとんどありません。理由は、透析離脱後、万が一のことが起きたときの責任が取れないからでしょう。

例え、患者が「自分のことだから自分が責任をとる」といったとしても、透析離脱を許可するには大変な勇気が必要です。Iさんの主治医は、Iさんの病状をしっかり把握していたからこそ、Iさんの希望を真正面から受け止めて許可を出したのでしょう。

患者の病状を的確に把握して、その希望を受け入れる医師は患者にとって理想の医師といえるのではないでしょうか。なお、Iさんは透析離脱後、ますます内臓トレーニングと食事療法、運動療法に励んでいるとの報告を受けています。