第103回 健康セミナー(神戸市)
日 時 2016年3月26日(土)13:30~16:30
会 場 兵庫県民会館
はじめに
当日は、東京を始め全国多数の都市で桜の開花宣言が出されたように、暖かく穏やかな日和でした。出席を予約された皆さんは、開会時間より10分ほど早くお集まりになり、配布された資料を熱心にお読みになっていた。
セミナーは、参加される方々がかもし出す雰囲気によってその成否が大きく変わってくる。今回の出席者の凛とした姿に染まったか、講師の話は抑制の聞いた声で、一語一語噛み砕くようにゆっくりスタートした。
同じ数値でも、病気を受け止める意識は大きく違う
今回の参加者の多くは、クレアチニン値が1.0~2.0の間にあり、比較的症状の軽い人が多かった。しかし、セミナー中、講師の話に大きくうなずき、一心にメモを取る姿には緊張感がみなぎり、後ろから見ているスタッフにもその気持ちが伝わってきた。クレアチニンの数値が低いと、「まだいいや」という気軽な気持ちの人と、「1.0台とは言え、既に腎機能が30%しかない、なんとかせねば」と、数値を深刻に受け止める人と、大きく2つに分けられる。
楽観主義は人生を豊かにする
人間は、生来楽観主義者だそうだ。認知神経科学者のターリ・シャーロット氏によると、人類の80%は現実よりも楽観的に物事を捉えているそうだ。彼女は、この楽観主義が人を成功に導いたり、幸せにしたりする一方で、大きなリスクから目を背ける原因にもなっているので、楽観主義と正しく付き合っていくことが大切だと力説している。
そこで、彼女は、その付き合い方を、低周波を様々な条件下で使い、脳波を刺激して人生にプラスに働く楽観主義と、リスクを前にした時、自分を守ることのできる楽観主義のあり方を研究しているそうだ。
マイナスの楽観主義は克服しなければならない
腎臓病の患者さんの中には、何の根拠もなく「症状が出ないのは、私の腎臓病は進行しない種類だからだ」とか、「僕だけは透析にはならない」と宣言する人もいます。そこまで極端でなくても、皆さんが「いつかは透析」と宣告されても、シャント手術が日程に上がらないと慌てないのはこのためです。しかし、リスクに目を背けるマイナスの楽観主義は克服しなければなりません。ここにリスクマネジメントの考え方が出てきます。
患者さん用のリスクマネジメントはない
リスクマネジメントとは、危機に直面したとき、事故を起こさないように想定されるあらゆるリスクを抽出し、危機の芽を摘み取ろうとする考え方であり、行動です。現在は、自然災害や交通事故、工事現場や営業活動などあらゆる分野で、危機を管理し安全を確保しようとする考え方が浸透しています。医療の現場でも、病院経営のリスク管理や、医療器具の取り扱いに関するリスク管理、手術におけるリスク管理など医師の立場に立ったリスクマネジメントは様々あり、至れり尽くせりです。
しかし、患者さんの側からみたとき、患者のためのリスクマネジメントはありません。ましてや、腎臓病患者が透析を回避するためのリスクマネジメントの存在など考えられません。現在の3時間待ちの3分診療では、医師がリスクマネジメントを提示できないのは止むを得ません。現代医療の最も大きな課題といえましょう。
内臓トレーニングは腎臓病患者さんのためのリスクマネジメント?
ところで、今日のセミナーで講師は、歩き方や姿勢の保ち方に病気の発症原因があること、どのような食事を摂ると病気が進行するかなど、内臓トレーニング実践者の実践例を挙げながら、透析に至るまでのリスクを紹介していました。その上で、それらのリスクを取り除くための血流改善の仕方や、自律神経のバランスの取り方など、病気と闘う方法について紹介しました。内臓トレーニングは、まだまだ完成度は低くとも腎臓病のリスクマネジメント方法であることは間違いありません。
セミナー終了後の、皆さんの納得した明るい笑顔に、腎臓病のリスクマネジメントとして、内臓トレーニングが役立っていることを確信しました。
【参加された方の感想】
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