【サンデー毎日10月17日号】記事掲載!

【サンデー毎日10月17日号】 平成22年10月5日(火)

「あなたを透析にはさせたくない」糖尿病・腎臓病患者待望の『内臓トレーニング』

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「内臓トレーニングを実践している日本全国の重度糖尿病・腎臓病患者の方々には、大きな変化が見られます。例えば約8ヶ月間、内臓トレーニングと食事療法を行い、インシュリン注射が必要なくなった方や、インターネットで内臓トレーニングを知り、当初は半信半疑で実践していましたが、血糖値やクレアチニン値、ヘモグロビンA1cなどの数値がすべて下がった方などです。」こう話すのは、医療法人健身会理事長で医学博士の周東寛氏だ。周東氏は次のようにも話す。「内臓トレーニングによって、医療の常識を覆す驚くべきデータも採取できました。高血糖に悩む60代女性Mさんは、約半年の間にヘモグロビンA1cが9.5から6.7に。40代男性Iさんは、8ヶ月間でクレアチニン値が約5.8から約4.7まで下がりました。」このように内臓トレーニングは、一般に下がりにくいと言われるヘモグロビンA1cやクレアチニンの数値を大きく下げている。内臓トレーニングとは、一般社団法人内臓トレーニング協会が開発した健康法で、自然治癒力を高める効果があるという。まず、ふくらはぎを刺激して血液とリンパの流れを良くする。次に足裏を刺激して内臓の機能を高め、最後に自律神経を刺激して神経の伝達機能を迅速にする。これにより病気に負けない身体をつくるというものだ。しかも、補助器具を使うことで、自宅で、自分の生活リズムに合わせて長時間実践できる上、寝たきりの老人でも実践できるのが利点だ。

止まらぬ透析医療費の増大、千葉県のある都市の場合
近年の日本では、透析患者1人当たり、年間600万から700万円の費用が掛かっている。日本の透析患者数の合計27万人の治療では、年間1兆3000億円に上る。しかも2006年の厚生労働省の調査では、腎臓病予備軍は480万人。糖尿病予備軍に至っては、実に2210万人だ。このまま透析患者が増加していけば、日本の医療制度が崩壊してしまいかねない。「今年の7月に、千葉市で保健師さんたちに公演を行いました。そのときのある看護師さんの話では、県内の約6万人の街で昨年新たに27名が透析に入ったと言います。1人700万円掛けるとすれば合計で1億8900万円。毎年透析患者が増えた分、費用は上乗せされますから。早晩地方財政は破綻するでしょう。」こう話すのは日本の医療界の置かれている現状を憂い、透析患者をこれ以上増やさないよう、糖尿病や腎臓病患者の支援活動を行っている一般社団法人内臓トレーニング協会の望月靖彦理事長だ。1944年、静岡県生まれの望月理事長。東北大学を卒業後、40年間静岡県の高等学校や大学に勤務し、2008年に協会設立と共に理事長に就任した。

マイナスのスパイラルから患者やその家族を助ける
患者が不治の病を宣告された時、「治りたい、生きたい」という思いは切実だ。そこで、藁にもすがる思いで、周囲から勧められた治療法をいろいろと試す。しかし、どの治療法も思った程の効果が出なければ、疑心暗鬼に陥り、絶望して自助努力を諦めてしまう。一方家族は、回復を願う本人の希望に応えようと、高額な治療費を負担するが、その効果が見えないという失望感から、患者の支援を諦めてしまう。これが難病患者とその家族が陥るマイナスのスパイラルだ。透析患者も合併症を併発するようになると、往々にしてこのスパイラルに陥ってしまう。「しかし糖尿病と腎臓病の患者さんには救いがあります。それは患者さん自身が食事の摂り方を工夫し、病状に合わせた生活を送れば病気をコントロールできるからです。努力をすれば希望のある生活ができるんです」と望月理事長は話す。

闘病生活にも指導が必要
同協会では、スポーツ選手に指導者が必要なように、闘病生活にも指導者が必要と考えている。糖尿病も腎臓病も、自覚症状のない時から適切な食事をし、ストレスをためない規則正しい生活を送れば病状の進行を抑えることができるという。「私たちは、日々の症状や数値の改善を図る内臓トレーニングのトレーナーであり、正い食事の摂り方や基本的な生活習慣を身につけるためのコーチ役でもあります。ところが常に指導者の言う通り、節制していれば良いのですが、誘惑に負けて暴飲暴食に走る人がいるのも常です。こうした場合は、闘病生活のブレを修正するのも私たちの役目であると考えています。」(望月理事長)内臓トレーニングを実践する方法は次の3つだ。1つ目が、同協会に併設する静岡トレーニングクリニックでの受診。2つ目が健康教室へ参加すること。3つ目が協会のサポートシステムを活用して、自宅で直接実践することだ。実践者は北海道から沖縄まで全国に広がっている。