【はつらつ元気 2016年7月号】記事掲載!

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2016.6.2発売

〝第二の心臓〟ふくらはぎの刺激で
全身の血流がグングンよくなる!
痛みや不調、数値もスムーズに改善

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◎人間だけが持つふくらはぎ

 

 「ふくらはぎをもむと健康になる」「ふくらはぎを温めると体にいい」といったことを聞いた覚えがある人は、大勢いらっしゃるでしょう。また、すでにふくらはぎをもんだり、温めたりするなどして効果を実感している人も、少なくないと思います。
 ふくらはぎは私たち人間にとって大変重要な部位です。動物たちの体をよく見てください。犬や猫、サルなどの四本の足で歩行する動物には、ふくらはぎがありません。俊足で知られる馬にもなければ、重い体重のゾウにもありません。ふくらはぎは、二本の足で立って歩く、人間だけにあるものなのです。

◎ふくらはぎは血液循環の要

 血液は、ポンプの役目を果たす心臓の働きによって体内をめぐります。そして、血液は全身の各細胞へ酸素と栄養素を届け、不要な二酸化炭素と老廃物を回収しています。
 人間の下半身は心臓よりも低い位置にあり、なおかつ重力の影響を受けるため、とかく血流が滞りがちです。そこで「第二の心臓」として働くのがふくらはぎの筋肉です。ふくらはぎの筋肉がポンプの役割をして下半身の血流を促進し、血液を心臓へ戻しているのです。
 もし、人間にふくらはぎがなければ、下半身の血流は心臓に戻ることができなくなってしまうでしょう。
 となれば、下半身の血流は滞ってしまいます。細胞に栄養や酸素が届かないうえに、老廃物はたまるばかり。下半身はもちろん、全身に悪影響が生じてしまうのは、当然のことだと考えられます。
 動物や人間が生命を保つのに心臓は必須の臓器ですが、ふくらはぎは人間にとって、健康を保つために必須の部位。ふくらはぎを「第二の心臓」と呼ぶのは、その働きだけなく、重要性もあらわしているといえるのです。

◎筋肉収縮がポンプの役割になる

 「ミルキングアクション」という言葉をみなさんはご存知でしょうか?牛から乳をとるとき(搾乳=英語でミルキングという)、お乳を手で握ったり離したりすることで、乳をしぼり出します。
 ふくらはぎの筋肉が動いて伸びたり縮んだりを繰り返すと、筋肉中の血管が刺激を受けて血流が促されます。その働きが牛の乳をしぼるときの様子に似ているため、筋肉が動いて血液循環が促されることをミルキングアクションというのです。
 生きている人間の心臓は何をせずとも動き、血液を送り出すポンプの役割を行います。一方ふくらはぎは、筋肉を収縮させることで、はじめてポンプの働きをします。
 したがって、歩くなどして筋肉を物理的に伸び縮みさせなければ、ミルキングアクションは起こりません。つまり、ふくらはぎは第二の心臓としての役目を十分に果せなくなってしまうのです。
 交通手段の発達などで歩くことが少なくなった現代は、ふくらはぎを使う機会も昔に比べてめっきり減少したようです。また、加齢によって筋肉はどんどん衰えていきます。ふくらはぎの筋肉も歳をとるとともに弱くなっていきます。
 こういった理由でふくらはぎが衰え、血液循環に支障をきたしている人は、少なくないと考えられます。
 前述しましたが、血流の滞りは全身に悪影響を与えます。すなわち、ふくらはぎの衰えが多様な疾患や不調を誘発・増長したり、改善を阻んでいる可能性が大いにあるのです。
 そこで、みなさんに実践していただきたいのが「ふくらはぎ刺激」です。もむ、歩く、さする、押すといった方法で自分のふくらはぎを刺激してみてください。

 

◎ふくらはぎ刺激で血流が一気に改善

 

 ふくらはぎを刺激すると、下半身の血流の滞りが解消して、全身の血液循環が一気によくなります。ふくらはぎの固さやこわばりが改善したり、下半身がポカポカと温まってくるのが実感できるでしょう。
 人体はおよそ六〇兆または三七兆個といわれるたくさんの細胞によって構成されています。皮膚や臓器、脳や血管、骨もすべて細胞からできています。すなわち、疾患や不調を改善するには、これらの細胞ひとつひとつを元気することが重要です。
 そのために欠かせないのが血液循環を良好に保つこと。細胞へ十分な酸素と栄養を与え、きちんと老廃物を回収することが必須なのです。

◎不調・疾患がスムーズに解消!

 私が院長を務める静岡トレーニングクリニックでは「内臓トレーニング」という独自療法を取り入れ、腎機能の自力改善などに大きな成果を得ています(詳しくは二五ページ参照)。
 内臓トレーニングでは、
●ふくらはぎを刺激し、全身の血流をよくする
●足裏を刺激し、体の最も弱っているところを元気にする
●自律神経のバランスをとって体内環境を整える
 という三つの実践法を主に行います。中でも、ふくらはぎ刺激はトレーニングの基本ともいえる重要なもの。体内の血液循環を促して全身の細胞を元気にすることが、不調や疾患を改善する原動力になるからです。
 事実、内臓トレーニングを実践する患者さんの多くが、腎機能値の改善をはじめ、血糖値、血圧の低下、静脈瘤の解消などに成功しています。
 なお、ふくらはぎ刺激で期待できる効果には、腰やひざ、股関節などの痛みの改善、冷え性の改善、適正体重の維持(太っている人はやせる・やせている人は太る)、足の衰え防止、むくみ解消といったものがあげられます。
 これらの効果はすぐあらわれるものもあれば、長く続けて得られるものもあります。ですから、日々の習慣として、ふくらはぎ刺激を継続して実践することをおすすめします。
 ふくらはぎ刺激の方法には、もむ、押す、温める、歩くなどの方法があります。いろいろ試して、ぜひ自分に合った方法をみつけてください。