第118回 横浜セミナー
日 時 2017年5月20日(土)13:30~16:30
会 場 TKPガーデンシティ横浜 カンファレンスルーム4・5
はじめに
講師は、「腎臓病は生活習慣の中から発症する。したがって、体のしくみを理解できれば、腎臓病との付き合い方がわかってくる」と力説していました。私たちは、自分の体について理解しているつもりですが、いざ、むくみが出たり、関節が腫れたり、痛みがでてくると慌てて医者に駆け込んでしまいます。しかし、その原因を知るだけで余裕を持って病気と向き合うことができます。
今回は、腎臓病患者が、できるだけ避けたいと思っている、腎臓結石についてお話してみましょう。
(1)腎臓結石患者が増えた
腎臓結石といえば、中年男の病気と言われてきましたが、近年は若者や女性でも発症する人が増えてきました。理由は、食生活が豊かになり、肉や魚など動物性のタンパク質の摂取量が増えてきたことによります。
(2)腎臓結石のできる原因とその症状
腎臓の機能が低下してくると、血液中に溜まった様々なごみを尿として排出しきれなくなり、その一部が腎臓内に溜まってしまいます。特に肉類から排出されるシュウ酸やリン酸はカルシウムと結合して結石を作りだします。この結石は腎臓から排出されたのち、尿管、膀胱、尿道を通って体外へ排出されます。このため、この結石を尿路結石とも呼びます。
この結石が尿管に排出されると、尿がスムーズに流れなくなり、突然尿意をもよおしたり、排尿後に残尿感が残ったり、尿管の壁を傷つけて血尿が出たりすることもあります。このように、排尿に伴う不快な症状がさまざまに出てきます。中でも一番不快なのは、七転八倒するほどの激痛です。
(3)結石を防ぐための3つのキーワード
ア 肉類の取りすぎに注意しましょう
結石の元となるシュウ酸やリン酸は、適切な量をとっていれば、腸から便として体外へ排出されます。しかし、肉類を取りすぎると、その一部は血液中に取り込まれ腎臓に溜まり、結石を作ってしまいます。結石を作らないことだけを考えると、野菜中心の食事にすることがいいのでしょうが、すでに腎機能が低下している方にとっては、逆効果です。食事だけでコントロールするのはとても難しいですね。
イ 結石を流しだしたり、砕いたりするための運動をしましょう
もし結石ができてしまったら、結石を流し出したり、砕いてしまうための軽い運動を勧められます。昔から、推奨されている運動は縄跳びです。ジョギングも含め、上下動のある運動が良い刺激になるのでしょう。
ただ、腎臓病の指標であるクレアチニンは筋肉運動を行うと上がってしまいます。
ウ 水分補給に努めましょう
水分不足になると、尿の濃度が濃くなり、結石を作りやすくなります。水分を十分に取ることによって、尿の勢いが強くなれば小さな結石を流しだすこともできます。これは、腎臓病の方にも有効な方法です。
ただ、飲むことだけに一生懸命になってむくみが出たという方もいますので、水分を取る目的を忘れないようにしていただきたいです。
内臓トレーニングを行うと、トイレに行きたくなったり、尿量が多くなります。
血流を改善することは、腎臓の細胞を元気にするだけではなく、より多くの尿を作ることができます。
おわりに
上記のように、結石のためだけに一生懸命になると、腎機能を低下させる原因になってしまいますので、十分注意していただきたいです。あふれる情報に左右されることなく、自分の体を自分で管理できるように、私たちと一緒に勉強していきましょう。
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