8月1日開催 名古屋セミナー報告 腎臓病患者の薬に関する悩み

◇第155回 名古屋セミナー 
1 期日  2020年8月1日(土)13:30~16:30
2 会場  イオンコンパス名古屋駅前 桜通口会議室 RoomB

はじめに
 講師は、実践者たちの薬に関する悩みを報告していました。
今回は、内臓トレーニング実践者の薬に関する悩みを紹介して報告に替えたいと思います。

 
1日66錠の薬を飲まなければならない
 現在93歳のTさん(男性)は、87歳の時クレアチニンの数値が2.45になり、数値の上昇を心配して内臓トレーニングに取り組みました。
下の表は、実践するにあたって静岡に来た時に持ってきた薬の一覧表です。
この表を見せながら、主治医から毎日66錠の薬を服用するよう言われているが、飲みきれないと言って悩んでいました
 薬のことはともかく、以後7年間にわたって内臓トレーニングに励むとともに、93歳になった今も、自営の仕事を続けながら、認知症の奥さんの介護と自分の食事の管理に励んでいます。
現在のクレアチニン値は4.39です。
病気だけでなく老化も進んでいる80歳を過ぎた患者にとって、この数値は快挙といえましょう。
表1

 
66錠の薬の始末
 協会からは、薬にも賞味期限があり、一定の時期を過ぎた古い薬は廃棄してはどうですかと提案してみました。
また、薬一覧表を主治医に見せて、もう一度整理してもらいましょう。
自分自身の判断で薬を選別するとさらに病気を進める危険性があるので、必ず主治医に相談するようアドバイスしておきました。

 
患者の4分の1が5種類以上の薬を飲んでいる
 日本の医療では、過言を承知の上でいうならば「薬がすべて」と言ってもよいのではないでしょうか。多数の薬を服用するのはよくないといわれながらも、日本調剤株式会社の2015年の調査によれば、患者の約4分の1は5種類以上の薬を服用しているそうです。

 高齢者が5種類以上の薬を飲むとその副作用でふらついたり、寝たきりになったり、認知症になったり。介護になってしまうそうです。
医師の中には、自分の担当した病気を治すことにばかりに気を取られすぎて、体全体を診ることができなくなっている医師もいるようです。
内蔵トレーニング実践者の中には、糖尿病の治療ばかりしていて、その裏に隠れている腎臓病の治療をしない先生もおり、ある日突然透析を勧められたと嘆く実践者が何人もいます。

 
残薬投棄が増えている
 Tさんは66錠の薬はとても飲めないので、自分にとって必要と思われる薬を選別して飲むことにし、残った薬は押し入れにしまってきました。
何年にもわたって積み上げられた薬は山のように高く積まれ、押し入れを占領しているとのことでした。
このように、病院からはたくさんの薬が処方されますが、患者は飲み切れずほとんどを廃棄しているのが現状です。
患者が捨てる薬を残薬投棄といって現在の医療の大きな問題になっています。
増えた薬を減らすには、おくすり手帳を薬局に持って行ってどうしたら薬が減るかアドバイスを受けるとともに、薬局から主治医にアドバイスしてもらうのがベストです。
 しかし、薬剤師さんのアドバイスを受ける医師はほとんどいません。
検査表の見方を勉強して、あなた自身が主治医に相談するようにしてみてはいかがでしょう。

 
なぜ薬が増えるのか
 Tさんのように、慢性腎臓病を患う患者さんは、一般的に動脈硬化や不整脈、高血圧や自律神経のアンバランスなどたくさんの病気を抱えています。このため、
①複数の診療科に通うと、それぞれの医師は、患者の訴える症状に合わせて薬を処方します。
それぞれの医師は自分の経験に基づいて処方するのですが、時にはおんなじ薬が処方されることもあります。
患者が気付かなければそのまま服用することになります。
②薬はその目的に応じて素晴らしい効果を発揮します。
しかし、吸着剤を処方すると便秘を併発したり、尿酸値を下げる薬を飲むとじんましんが出るなど副作用がでてきます。
そこで、副作用を抑える薬もプラスして処方されることになります。
③更に、有効な薬を服用したことによって症状が治まります。
当然、数値は基準値に戻ってくるのですが、再度の発症を防ぐためと称して一度出した薬を続けて処方する医師も少なくありません。
④その他、主治医はAの薬が効くと思ったが、なかなか薬功があらわれないため、Bの薬Cの薬と、一つの症状を改善するために複数の薬を試します。
このような時、往々にしてAもBもCも合わせて処方する場合があります。
このように、様々な理由が積もり積もってYさんのように1日に66錠を飲むことになってしまうこともあるのです。

 
薬はできるだけ少なくしよう
 薬は、体の中の悪くなった局所を修理・修復するための道具です。
特に腎臓病は糖尿病に次いで生活習慣病と位置付けられ、研究が進められています。
しかし、まだまだ完治する病気ではありません。
複雑な臓器であるために様々な合併症を発症します。
製薬会社は合併症の数に合わせて、数えきれないほどの薬も作っています。
このため、Tさんのように1日に66錠を服用せよという例も出てきます。
 更に、薬は応急的な治療方法でありながら、一生飲み続けることを義務付けられることもあります。
しかし、薬は体内に入ると劇薬です、一生飲み続けて健康に良い薬はありません。

 
腎臓病患者の正しい生活の在り方
 「腎臓病が生活習慣病である」ことをもう一度考えてみると、先天的なものを除いて、腎臓病の多くは、長いあいだに身に付いた悪い生活習慣の中で発症したものです。
 患者自身が、生活の中の、どこで、いつ、何をしたかを振り返り、発症した原因を一つずつチェックして、生活の在り方を考えていくしかありません。
腎臓病の主治医は患者自身です。
 腎臓の細胞は壊れたら2度と再生しないといわれていますから、残っている細胞の免疫力を高めることによって、寿命を全うするまで使い続けることが求められます。
 その意味からも内臓トレーニングを実践して一生効果を持続し続ける免疫力と再生力を付けましょう。

【参加された方の感想】




◆お名前 : 匿名希望

◆感想・メッセージ :
参加する前は足裏の治療がほとんどでしたがふくろはぎと脊髄も重要だとわかりました。
毒の3点セットが尿素窒素、尿酸、カリウムであることが良く分かりました。
私の場合、尿素窒素と尿酸がたかいのでタンパク質をへらせばよいでしょうか?
食事療法の重要性が大変良く分かりました。ここ4か月の私の通信簿は最低ですね。
ご指導をお願いいたします。

 

◆お名前 : 西口 様

◆感想・メッセージ :
高齢者にとって講演の時間が長い40分ぐらいで休憩して欲しいです。
クレアチニン値お低くしたいです。

 

◆お名前 : 匿名希望

◆感想・メッセージ :
春に予定していたセミナーがコロナで中止になったのでとても残念に思っていました。
夫が慢性腎不全で透析一歩手前と言われてから半年が経ちました。
まだまだ、わからないことが多いなか、望月先生のパワフルで分かりやすい講義を拝聴して、もっと勉強していこうと前向きな気持ちになりました。
来月、静岡に伺い、体験する予定です。宜しくお願い致します。