◇第137回 神戸セミナー
1 期日 2019年2月9日(土)13:30~16:30
2 会場 兵庫県民会館 9F会議室 902号室
今回のセミナーで講師は、腎臓病患者さんの多くが、自律神経の活動が衰えていることを指摘していました。
自律神経の活動が衰えると、身体的には慢性的な疲労や、めまい、ほてり、便秘や下痢、その他にも不眠や頻尿など様々な症状が出てきます。
このような症状が続くと精神的にもイライラや不安や焦りが出てきたり、怒りっぽくなったり憂鬱になったりと感情の起伏が激しくなってきます。
しかし、現代の医療では、神経を治療する方法が確立されていません。
もちろん自律神経の治療方法もまだまだ研究途上にあります。
ところで、自律神経は、血液・血管の管理と、内臓の活動をコントロールする器官です。
それだけに、腎臓病の改善のためには、自律神経の活動を活発にしなければなりません。
そこで、自律神経の働きを改めて考えてみましょう。
体内には心臓や肝臓など、たくさんの臓器が集中しています。
近年の研究で、各臓器はそれぞれに自分の健康情報を発信しており、臓器間でネットワークを形成しているそうです。
ちなみに、腎臓はネットワークのキー局で各臓器の状況を自律神経に伝達している重要な臓器だそうです。
臓器をコントロールする自律神経は、血圧という武器を使って血液の管理を行っています。
例えば、血圧を上げることによって滞った血液の流れを強制的に流したり、血圧を下げることによって興奮した身体を沈静化させたりしています。
さて、自律神経と各臓器間の通信手段はなんでしょうか。
今までほとんど触れてきませんでしたが、情報交換はすべて電気信号で行われています。
この電気信号がスムーズに流れていれば自律神経の臓器コントロールが円滑に行われており、逆に滞ると上述したような身体の不調が発生します。
自律神経ばかりでなく脳の情報伝達も同じく電気で行われていますから、体中に電気が活発に流れていれば神経自身も活性化するし、臓器も活性化します。
この電気信号のことを生体電流と呼びます。この電流は60兆個の細胞によって発電され、脳や中枢細胞はもちろん体中に張り巡らされた末梢神経によって全身を流れています。
人体には生体電流が流れており、脳や自律神経の情報はすべて生体電流によって伝達され、それによって生命活動は管理されています。
したがって、自律神経の活動を活性化するには生体電流の流れを円滑にすることが大切です。
生体電流の流れが悪くなると自律神経の情報が各内臓に伝わらなくなり、前述したような身体の不調が生じてしまいます。
さて、ここからが本題です。
内臓トレーニングと生体電流の関係について述べてみましょう。
内臓トレーニングという健康法を開発するに当たって、考案者の望月みや子氏は、「細胞や組織が損傷を受けると生体電流は正常に流れない。
生体電流を正常に流すためには低周波で強い電流を流して新陳代謝を活発にすると正常に戻る。」という一文に引き付けられました。
これは、1950年東北大学の本川総長(医学博士)が著した「電気生理学」の中の一文です。
低周波電流は生体電流をまねて人工的に作られた電流であり、波形も周波数も電圧も患者ごと、症状ごとに自由に変えることができる大変便利な電流です。
本川先生によれば、体調が悪くて生体電流の流れが滞っても、より強い低周波電流を流せば新陳代謝が活発になり生体電流の流れは正常に戻るというのですから、腎臓病で自律神経の活動が衰えているなら、自律神経のある脊髄に直接強い電流を流して、新陳代謝を活発にすれば腎機能が回復できるのではないかと考え、本川先生のアイディアをいただきました。
その7年後の1957年に、東大医学部教授田坂定孝医学博士の著した「低周波脊髄・頭部通電療法」には、低周波電流を自律神経に通電すると衰えた腎機能が回復できるとありました。
両博士の低周波電流を活用した治療法は、日本で始めて神経を治療する方法であり、画期的な治療法として全国の国立病院や大学病院に広まりました。
しかし、治療に時間がかかること、断続的な治療では効果が出るまで時間がかかること、診療報酬が低く営業的に無理があったことなどから1970年代の初めには神経を治療する唯一の方法が各病院から消えてしまいました。
しかし、神経に対する低周波電流の効果は失われていません。
内臓トレーニングでは、補助器具のフットスキッパーで、脊髄に低周波を90分から120分使用することにより、生体電流の流れを整え、自律神経の活動を基準値に戻すことに成功しています。
実践者達からは、基準値に戻ることによって、上述した様々な症状も改善したという報告を受けています。