廣岡孝先生が、腎臓病の名医15人の一人に選抜されました。

このほど、「マキノ出版」(健康・医療専門の出版社)が、「腎機能を自分で高める最強辞典」グリーン文庫2020.1.29を出版されました。


この本は、マキノ出版社が、最も効果があり治療実績を持つ15の腎臓病治療法を選定したところ、その一つに内臓トレーニングが推薦されました。

それに伴い、廣岡孝先生も15人の名医の一人として紹介されています。


内臓機能が回復!糖尿病性腎症が改善し透析を回避した人多数

●透析寸前の患者さんの大きな助けとなっている

私のクリニックには、糖尿病性腎症に悩む患者さんが、数多く訪れます。糖尿病性腎症は、糖尿病による重大な合併症の一つです。

腎臓は主に、血液をろ過し、老廃物を尿として体外に排出する、浄水場のような役割を持ちます。血液中の糖濃度が高い状態が続くと、腎臓に負荷がかかり、機能が低下。さらに悪化して腎不全に陥ると、人工透析の必要が生じます。

人工透析になると、週に3日ほど通院し、数時間かけて、血液から老廃物を除去しなければなりません。これは体力的にも、金銭的にも、大きな負担となります。

ですから患者さんは、「透析だけはなんとか避けたい」と、必死の思いで、クリニックにいらっしゃいます。


これは、私たちのクリニックが提唱する「内臓トレーニング」という療法が、患者さんたちの、大きな助けとなっているからです。ここでは、透析寸前の状態から回復し、透析を避けられた改善例が、多くみられます。

内臓トレーニング、といっても、内臓を直接鍛えるわけではありません。主にふくらはぎや足の裏などを刺激し、全身の血流を活性化。自律神経のバランスを整えます。内臓を総合的に健康に導く方法であるため、そう呼ばれているのです。

血液は、動脈を通って3割は頭部へ、7割は心臓から下へと送られます。心臓はポンプの役目を果たし、酸素と栄養素が、新鮮な血液にのって各細胞に運ばれます。

しかし、下半身へ送られた血液を心臓に戻すためのポンプはありません。重力の影響も受けて、血液は、下半身に滞りがちになってしまいます。

下半身に静脈血が滞ると、老廃物を回収する役割を持つ、リンパ液の流れも停滞します。すると、体内の各器官の機能が低下し、さまざまな病気を引き起こす要因となるのです。

そこで重要になるのが、「第二の心臓」と呼ばれる、ふくらはぎの役割です。

ふくらはぎを運動などにより刺激すると,ふくらはぎがポンプの役割をして、血液を心臓へ戻してくれます。静脈血の流れがよくなると、リンパの流れも改善します。

一方、足の裏は、「内臓の鑑」と呼ばれるほど、反射区(全身の各臓器や器官につながる末梢神経)が集まっています。反射区を刺激すると、対応する臓器に、集中的に血液が送られることが、アメリカやドイツの研究で明らかになっています。

ふくらはぎや足の裏などを刺激することで、全身の血流とリンパの循環がスムーズになれば、疲弊した内臓の機能も、おのずと回復するのです。

腎機能値が降下! 主治医に「透析の必要なし」といわれた


●70%以上の患者の腎機能値に効果

糖尿病のため、血糖値が高い状態が続くと、動脈硬化が進行します。糸球体の毛細血管も、例外ではありません。細かな血管が壊れ、網の目が破れたり、詰まったりすると、老廃物をろ過できなくなります。これが、糖尿病の3大合併症の一つである、糖尿病性腎症です。

糖尿病性腎症は、糖尿病と腎臓病の両面から治療が必要な、自己管理が難しい病気です。悪化すると、人工透析が必要になります。糖尿病性腎症のために透析を受けた人は、全透析患者のうち、実に39%を占めます(2017年現在)。

人工透析を受ける側の負担は大きく、「それだけは避けたい」と願う患者さんが訪れるのが、私のクリニックです。

当クリニックでは、「内臓トレーニング」という独自の方法を採用しています。低周波電気治療器を用い、ふくらはぎなどに通電刺激を与えることで血行を促進し、脊髄と足裏を刺激することで、自律神経のバランスを整えます。

そして、食事療法やマッサージ法なども指導することで、糖尿病性腎症をはじめとする腎臓病や、神経性疾患などの治療に、大きな成果を上げています。

腎機能を測る目安の一つに、クレアチニン値があります。クレアチニンは、アミノ酸の一種が代謝されたあとにできた、老廃物です。腎機能が正常なうちは、尿に含まれる形で体外に排出されますが、腎臓の働きが悪くなると、血液に残ります。

よって、血中のクレアチニン値が高ければ高いほど、腎機能が低下していると判断できるのです。

クレアチニンの基準値は、医療施設によって異なります。ちなみに、日本人間ドック学会における基準範囲は、男性で1.00㎎/dl以下、女性で0.70㎎/dl以下。たいてい、5・00㎎/齪前後になると、人工透析の導入が検討され始めるようです。

※現在、静岡トレーニングクリニックでは、クレアチニン値だけでなく、eGFRも診断基準として採用しています。

「クレアチニン値は、一度上がると下がりにくい」といわれています。患者さんのなかには、主治医に「いずれ人工透析になるのは避けられない」といわれつつ、半信半疑で私のもとを訪ねる人もいらっしゃいます。

しかし、内臓トレーニングを行った、腎臓病(糖尿病性腎症も含む)の患者さん192人のクレアチニン値を調べたところ、実に45.3%が改善、25.5%が数値を維持していることがわかりました(調査期間=2006年12月~2011年12月、内臓トレーニング協会調べ)。

つまり、70%以上の患者さんの腎機能が、改善または維持する効果が現れているのです。


●クレアチニン値が4・85→1・81㎎/dl!

協会のサポートを受けて、内臓トレーニングを実践されたかたたちの例をご紹介しましょう。

85歳男性・Aさんは、長い間、糖尿病性腎症を患ってきました。大の美食家で、食事療法を拒んできた結果、2011年9月、クレアチニン値が4.85㎎/dlまで上がり、主治医から人工透析を勧められました。

Aさんは、翌月から、友入に紹介された内臓トレーニングを始めました。奥様の支えもあり、特にふくらはぎ刺激を熱心に取り組みました。すると、1カ月後には、クレアチニン値が、一気に2.52㎎/dlまで下がったのです。

しかし、過去1~2カ月の血糖状態を示す数値であるヘモグロビンA1cは、この時点で、10.1%もありました。(基準値は4.6~6.2%)。それでもAさんは、内臓トレーニングを根気よく続けました。

その努力の甲斐あって、開始3カ月後には、クレアチニン値が2.01㎎/dl、ヘモグロビンAlcは7.1%まで下がったのです。

この結果を見た主治医は、「これは奇跡。一生、透析の必要はないでしょう」と、太鼓判を押してくれたといいます。

そして、開始して半年後、クレアチニン値は1.81㎎/dlまで降下。ヘモグロビンA1cは、なんと6・0%まで下がり、基準値内に収まるようになったのです。

人工透析の危機から脱出し、糖尿病も克服したAさんは、その後も、クレアチニン値は2.00㎎/dl前後をキープ。ご夫婦で平穏に暮らしていらっしゃいます。

次に、69歳の女性・Bさんの例です。

Bさんは、約10年間、糖尿病性腎症を患い、網膜症で視力が低下、足も動かなくなっていました。

2013年2月、クレアチニン値が4.16㎎/dlに上がり、主治医から人工透析を予告されました。すると、心配した娘さんが、インターネットで情報を収集。翌月から、ふくらはぎ刺激などの内臓トレーニングを開始しました。

すると、徐々にクレアチニン値が降下。9カ月後には、3.26㎎/dlまで下がり、主治医からは「しばらくは透析を気にしなくてもいいよ」といわれたそうです。

Bさんは足のむくみや、うっ血がひどく、車イスでの生活を余儀なくされていました。それが今では、自力で歩くことも可能になりつつあります。

ふくらはぎへの刺激により血行が促進すると、脊髄や足裏を刺激する神経作用の効率が上がります。糖尿病や、糖尿病性腎症などの予防・改善に対し、ふくらはぎがどれだけ重要な特効ポイントであるか、認識を新たにすべきでしょう。