2017.5.1発売
あらゆるタイプの腎臓病に効果!
クレアチニン値の改善や維持もできる
人工透析を回避する腎機能を自分で改善
糖尿病性腎症や高血圧性腎症、
慢性腎臓病や腎不全がぐんぐん回復
腎臓の機能低下が進めば、
体内に老廃物や毒素がたまる!
人工透析が近づく糖尿病性腎症の怖さ
静岡トレーニングクリニック院長・医学博士 廣岡孝
◎腎臓病を根本から治す薬はない
「肝腎要」という言葉の語源にもなっている腎臓は、体外に毒素を排出し、体を正常な状態に保つ極めて重要な役割を担っています。そら豆のような形をした握りこぶし大の臓器で、腰のやや上部に左右対称に二つあります。
腎臓は毎日二四時間休むことなく、血液を浄化しています。体内を循環する血液から老廃物や塩分などをろ過し、尿をつくって体の外に出す働きをする大切な臓器です。食べ物や飲み物、薬など、体内に入ってきたものはほぼすべて腎臓を通って処理されます。
こうしたろ過機能に加え、腎臓は血圧を安定させるために体内の水分と塩分量を調節する機能を果たします。さらに、血液中の赤血球の生産を促す働き、体内の水分や電解質の量を調節して体内環境のバランスを保つ働きなどもします。
以上のように働き者の臓器だけに、腎臓の機能が低下したり、腎臓の一部が壊れたりすると、さまざまな不調や病気を招きます。尿素窒素や尿酸などの老廃物をろ過できなくなれば、むくみ、体がだるいといった症状が出てきます。
日本透析医学会が発表している腎臓病は約二〇種類と多く、起因や症状も多種多様です。原因がわからない腎臓病もあります。代表的な腎臓病には、糖尿病性腎症、高血圧性腎症、慢性糸球体腎炎、IgA腎症などがあります。現代の医療では、腎臓病を根
本から治す薬はないとされ、腎機能の低下が進行すると、人工透析か腎臓移植が行われます。
腎機能の状態は一般的に、血中の「クレアチニン値」や「eGFR値」で判断されます。クレアチニン値は昔から使われている指標です。老廃物であるクレアチニンは、腎臓の機能が正常であれば尿に含まれて体外に排出されますが、腎機能が低下すると血液中に
残ります。つまり、クレアチニン値が高ければ、腎機能が低下していると判断できるわけです。
ただ、クレアチニンは男女差があり、筋肉量によっても産出される量が異なります。このため、より正確な腎機能の評価の指標として、eGFR値が平成二〇年から使われるようになりました。eGFR値は、クレアチニン値を基準に年齢や性別を考慮して計算された糸球体ろ過量の換算値です。eGFRの値がそのまま腎機能の残存率(%)を示すと考えられています。
もっとも、eGFR値の登場以前に腎臓病と診断された患者も多く、馴染みのあるクレアチニン値の変化で腎臓病の進行を把握する人のほうが多いかもしれません。当クリニックでは、患者によってクレアチニン値とeGFR値を使い分けています。
下図は慢性腎臓病の評価例ですが、糖尿病の合併症である糖尿病性腎症の場合、診断基準が異なってきます。eGFR値が九〇%と健常人の数値であっても、尿タンパクのアルブミン尿が三〇〇㎎/g Cr以上出ると「第三期」と診断され、透析の準備段階に入ります。腎臓病は自覚症状がわかりにくい病気だけに、定期的な血液検査と尿検査で数値を確認することが肝要です。
◎代表的な腎臓病
糖尿病性腎症
糖尿病三大合併症の一つ。血液中の糖が腎臓の糸球体の毛細血管を壊し、老廃物のろ過が不能になる
高血圧性腎症
高血圧が起因の腎臓病。毛細血管が硬く細くなり、血流低下で腎臓も硬くなる。腎硬化症とも呼ぶ
慢性糸球体腎炎
毛細血管が集まった糸球体が壊れる病気の総称。再吸収されるはずのたんぱく質が尿に流れ出る
IgA腎症
糸球体が壊れ、IgA というたんぱく質が沈着して発症する。進行すると、たんぱく尿や血尿が出る