米大統領、ES細胞研究法案に再び拒否権
【ワシントン=山本秀也】ブッシュ米大統領は20日、難病治療への応用が期待される胚性幹細胞(ES細胞)の研究支援に関する法案に拒否権を行使した。ES細胞関連法案への拒否権行使は、昨年7月に続きブッシュ政権で2度目。ただ、同大統領は受精卵などの破壊を伴わない代替研究を命じる大統領令を即日発布した。
ES細胞研究は、米国内の世論調査で約6割が「支持する」と回答している。これに対して、キリスト教福音派の影響が強いブッシュ大統領は、「超えてはならない一線」と生命倫理を理由に拒否の姿勢を貫いており、ES細胞研究の是非は次期米大統領選に向けた政策上の争点となっている。
上下両院を通過した今回の法案は、ES細胞研究への連邦予算の支出を認めるなどの内容。拒否権の行使にあたり、ブッシュ大統領は、「この法案が成立すれば、米国史上初めて納税者が意図的なヒト胚の破壊を容認することになる」と演説した。
一方で大統領は、「生命倫理に触れない研究の助成」を打ち出し、成人の皮膚などを使ったES細胞の代替研究に米国が取り組む方針を打ち出した。
ES細胞は、再生医療をはじめ、糖尿病、パーキンソン病などの治療への応用が期待される一方、やがて胎児となる生命の芽を破壊することで、先進国では生命倫理の議論も呼んでいる。米国内では、連邦予算を使った研究をブッシュ政権が禁じるなか、一部の研究機関で公費を排除しての研究が続いている。
(産経新聞 2007/06/21 09:59)