メタボ健診 伸びぬ受診率
心電図など項目減、人間ドックに流れる
40歳から74歳までの人を対象にした「メタボリックシンドローム」(内臓脂肪症候群)かどうかを調べる特定健診・特定保健指導(通称メタボ健診)の受診率が伸びていない。受診率が目標に届かない自治体が続出。不況の影響を受け、実施を先送りにする企業もある。生活習慣病になる人を減らし、医療費削減につなげる世界でも例を見ない取り組みとしてスタートして一年。軌道に乗せるには一層の工夫が必要といえる。
国民健康保険の加入者を対象にメタボ健診を実施する市町村の多くは受診率の低さに頭を悩ませている。
国は市町村国保について、2012年度の特定健診の受診率を65%、特定保健指導の実施率を45%とする目標を設定。市町村はこれを達成できないと、75歳以上の医療費への拠出金が最大10%増えるという「ペナルティー」を課されることもあり、休日や夜間に健診日を設定するなどして、受診率アップに躍起になっている。
2007年度まで実施していた基本健診の受診率が60%を超えていた埼玉県朝霞市。メタボ健診に移行した08年度の受診率目標を40%に設定したが、「届きそうにない」。
心電図など外れる
考えられる原因の一つが健診項目の減少だ。同市の場合、胸部X線撮影がなくなり、基本健診では希望者が受診できた心電図もなくなった。「同じ健診なら、いろいろ分かった方がいいという思いがあるのでは」(同)とみる。
同様に検査項目が減った同県志木市では、メタボ健診の受信者が伸び悩む一方で、私立病院が実施する人間ドックの受診者が増えるという現象が起きている。
受診料を無料にした宇都宮市も目標の30%は達成できない見通しだ。同市は基本健診を実施していた時同様、特定健診とがん検診を同時に受けられる体制を整えたが、「お互いが足を引っ張る形となった」。がん検診の受診率も過去の実績を大きく下回りそうだという。
自治体も手をこまねいているわけではない。
兵庫県明石市は今年二月末時点の受診率が15%。「基本健診の時、国保加入者の受診者は12,3%程度だった。伸びていることは確か」だが、目標の35%には遠く及ばない。
平日は忙しくて受診できない人を呼び込もうと、一月下旬から市内十ヶ所で土日の集団健診を試行したところ、一月だけで120人以上が受診した。4月以降も土日健診を続ける予定という。
「ナイト健診」を実施したのは沖縄県南城市。1月、公民館など4箇所で午後6時から1時間半実施した。「1箇所につき20人も来ればいいと思っていた」が、ふたを開けてみれば計260人が受診。昼間の集団検診では27%にとどまっていた40~50代の受診者の比率が、ナイト健診では46%とほぼ半数を占めた。
自治体も巻き込む
同市は受診を呼びかけるはがきを正月に約5千通発送。「年賀状の季節なので、見のがしを防げた」とみる。ほかにも、自治会に受診率を競わせ、上位に入ったところには最高30万円の報奨金を支給する取り組みを進めており、目標の35%が達成できる見込みという。
志木市は今年五月、メタボ健診のほか、人間ドックやがん検診を受診できる「総合健診センター」をオープンさせる。女性の受診率アップを目指した「レディースデー」を週1回設定するなど利便性の向上に取り組む。ただ、「メタボ健診は効果を実感しづらい。『受診したほうがいい』という風潮を広げるのはなかなか難しい」という声も上がっている。
(吉本直子、林さや香、島田貴司)
日本経済新聞 2009/4/5