動脈硬化と心臓病、メタボの関係 狭心症・心筋梗塞とメタボリクシンドローム①
心臓を取り巻く冠状動脈の仕組み
体の細胞は、血液から、酸素や栄養をもらって生きています。心臓は、一日10万回も収縮と拡張を繰り返して体に血液を送り出しているポンプのような役割があります。心臓の筋肉も血液を送らないと生きていけないため、心臓出口の大動脈から、“孫悟空”の冠のように、心臓の筋肉に血液を送る動脈が心臓を取り巻いて出ています。
これを冠状動脈といいます。
狭心症と心筋梗塞(こうそく)は、冠状動脈が動脈硬化によって狭くなり、心臓の筋肉に行く血液が足りなくなる病気です。狭心症は心臓の筋肉がまだ生きていて、血液が不足している状態。心筋梗塞は、血管が詰まってしまい、血液が行かなくなって心臓の筋肉が死んで機能しなくなる状態を指します。
心筋梗塞を招く動脈硬化の危険因子
これらの病気には、冠状動脈の血流を良<することが重要です。冠状動脈の狭い部分を、先端に風船の付いたカテーテル(管)やステント(金網のチューブ)で広げるカテーテル治療や冠状動脈の狭い部分の先に血管をつないで、血液を流す道をつくるバイパス手術などがその治療法です。現在の治療では、狭心症の患者の場合、血液が不足している部分を解除できれば、その後は年に1%の死亡率、急性心筋梗塞の患者の場合は、緊急にカテーテル治療を行えば、死亡率は5%にまで減らすことができます。ただ、一番大切なのは動脈硬化をできる限り予防していくことなのです。
動脈硬化は完全に予防できるのでしょうか。今のところ、完全に予防することは難しいのが現状です。しかし、動脈硬化の危険因子(リスクファクター)をコントロールして減らすことはできます。動脈血管中の壁に傷が付きやすくなる危険因子を減らす努力をすればいいわけです。動脈硬化の危険因子は、▽たばこ▽血圧が高い▽コレステロールが高い▽糖尿病▽肥満です。コレステロールは、血管の中で変性するなどして、動脈の壁に傷をつけてしまいます。糖尿病も同様に、糖が高いと血管に傷が付きやすくなります。このほか、ホルモンの関係で女性より、男性のほうが起こりやすいことが分かっています。女性は月経のある間は、動脈硬化はあまり起こりません。閉経した後から、動脈硬化が始まるので、男性より10年くらい有利です。
これらの条件が重なるほど、狭心症や心筋梗塞が多くなります。危険因子を3つ以上持っている人は、一つもない人の30倍も心臓病などにかかりやすくなります。ある調査では、狭心症は日本人の65歳以上では1000人中、50人くらいはいるだろうといわれています。この危険因子を減らす努力が今、求められています。特にたばこは、やめればリスクが半分に減ります。たばこをやめて数年たつと、吸ってない人と血管の動脈硬化の進行はほぼ同じに戻るといわれています。ですから、たばこはいつやめても遅すぎるということはありません。