メタボ健診が4月から始まるが…

4月から始まる「特定健診・保健指導」では、メタボ対策として腹囲(へそ周り)測定が追加されています。男性85センチ、女性90センチ以上(未満の場合でもBMI25以上の人は含む)で、血圧・脂質・血糖・喫煙歴のリスク要因などを調べて、生活習慣改善に向けた指導が行われます。今までの健診は4月から図のように変わります。

これらの健診を通じて「平成27年度には平成20年と比較して糖尿病等の生活習慣病有病者・予備群を25%減少させる」としています。「国がそこまでやるとは私も予想していなかった」と松澤肥満学会理事長(08年2月10日、朝日新聞)が述べているように、医療費節減という動機から今回の健診の義務化(40歳から74歳まで)となったようですが、果たして妥当なのだろうか。「健康になるからいいのではないか」とばかりは言えない側面も見えてきます。

今回の問題点

(1) 腹囲や血圧などの基準は適切なのか

 血圧では上130以上、下は85以上が、メタボの基準と言われています。一時期、140以上とされていましたが、改定の理由は定かではありません。腹囲についてもさまざまな意見が出されています。

(2)健診率が悪いとペナルティーが課せられるのはどうなのか

 健診の実施状況によって、今年の4月からスタートする75歳以上の人たちの健康保険制度において、国が保険者に拠出する額が、10%を上限に増減額されることになります。ここから「健康統制」、「健康ファッショ」などという批判が出てきています。肥満即悪という固定観念を作り上げていくことにもなりかねません。それは、精神障がい者が危ないから隔離すべきだという発想にどこかでつながってはいないでしょうか。

(3)腹囲が基準内にあれば、血糖値、血圧が基準を満たしていなくても大丈夫なのか

 私は、腹囲は小さく、体重も55キロ程度だったが脳梗塞(こうそく)を発症した。腹囲という分かりやすい目印を出したのは良かったが、あまりにも単純化したのではないか。

(4) 基準を厳しくすることで薬代だけが増えるのではないか

 高脂血症や高血圧の薬だけが増えていきそうに思われます。先に指摘したように、高血圧基準値は上が140以上だったのを135にしただけで、製薬会社は膨大な利益を増やしたという。今回130以上にする根拠は明確なのか。

(5)75歳以上の後期高齢者、2重の切り捨て

 厚生労働省は、「後期高齢者については、生活習慣の改善による疾病の予防効果が、75歳未満の者よりも大きくないと考えられるとともに、生活習慣の改善が困難な場合も多く、QOLの確保が重要になってきている」(厚生労働省・「健診プログラム」)として、健診よる予防効果は期待できないとしています。しかしながら、医療費高騰のリスクが高いとして別枠の保険制度を導入しています。75歳以上には負担は増やして、サービスは低下させるという意図が露骨です。

 こうして健康管理を国が義務化していくと、その先に何か別の目的も横たわっていないかと危惧(きぐ)します。そして、検査会社、製薬会社がもうかったということにならないだろうか。

オーマイニュース下川 悦治 記事より2008-03-06 16:00