「健保、9割が赤字」 総額6000億円、最大に
健康保険組合の集まりである健康保険組合連合会は21日、2008年度の予算早期集計を公表した。高齢者の医療保険のための支援金が膨らみ、08年度は約9割の健保が赤字に陥る。全体の赤字額は六千億円を超え過去最大。少なくとも141の健保が保険料率を引き上げる予定だ。高齢者の医療費の増加に伴い、現役世代の負担が膨らんでいる。
健保連が1502の組合のうち、1285の組合の集計結果をもとに全体を推計した。
健保は、大企業が会社員のために設立する公的な医療保険。会社員は企業と分担し保険料を納める代わりに、会社員とその扶養家族が医療機関で治療を受けた際に医療費の助成を受ける。会社員と扶養家族を合わせ約3000万人が加入している。
健保連によると、08年度は89%に当たる1334の組合で単年度収支が赤字の見込み。赤字割合は過去最大だ。
全体の推計では保険料収入を中心とした経常収入は約六兆三千億円で前年度比3.7%増える。健保財政の悪化で保険料率を引き上げる組合があるため。一方で経常支出は同9.8%増の約6兆9000億円となり、差し引きで6322億円の赤字になる。赤字幅は前年度より3900億円拡大した。積立金で対応できないと保険料率の引き上げを迫られる。
支出が膨らんだ最大の要因は高齢者への支援金が増えたことにある。厚労省は今年度から65~74歳の割合が低い健保(2%)が割合の高い国民健康保険(28%)に支援金を出す仕組みを導入した。これまでも健保は、健保を脱退した退職者や75歳以上の医療保険を支援してきたが、対象を65歳以上に広げた。
制度改正や医療費の自然増の影響で、65歳以上の高齢者が入る医療保険への支援金が08年度に約2兆8000億円と前年度に比べ約5000億円増える見通し。これは保険料収入の46.4%を占める計算だ。厚労省は健保の負担は3000億円以上増えるとみている。
中小企業の従業員が入る政府管掌健康保険や公務員の入る共済も高齢者への支援金の拠出を求められており負担が発生する。厚労省は政管健保への国庫負担のうち750億円を健保に肩代わりさせる特例法案を国会に提出しており、成立すれば健保への負担はさらに膨らむ。
健保連は健保の赤字分を穴埋めするには保険料を平均で0.8%引き上げる必要があると試算している。同日記者会見した健保連の対馬忠明専務理事は「いまの保険料率は平均7.4%で、引き上げると政管健保と同じ」と指摘。そのうえで「とても(国に代わって)政管権保を支援できる状況にない」と述べ、健保の経営環境が悪化している点に配慮を求めた。
2008/4/22(火曜日) 日本経済新聞