若返りの鍵を握るミトコンドリア

若返りの鍵を握るミトコンドリア

静岡新聞 2010年12 月10日

われわれの体の細胞の中でエネルギーをつくっているミトコンドリア。細胞内小器官とも呼ばれる、この小さなミトコンドリアが健康や若返りに密接なかかわりを持っていることが、専門家による最新の研究で明らかになってきた。

「老いとは、体が持っている、エネルギーをつくる能力が低下すること。その点で、若返りの鍵を握っているのがミトコンドリア。認知症もミトコンドリアが生み出すエネルギーの低下が原因の一つと分かってきた。」と太田成男日本医大教授(日本ミトコンドリア学会理事長)は指摘する。
最近「体が若くなる技術」(サンマーク出版)という本を出版、ミトコンドリアの重要さをアピールしている。ミトコンドリアは、人では1つの細胞に100~数千個もあり、取り込んだブドウ糖や脂質を酸素で分解してエネルギーをつくり出している。体の衰えがエネルギーをつくる能力の低下であることを示すわかりやすい例が「中年太り」。これはエネルギーをつくる能力が衰えたために、食事で取り込んだエネルギーの原料を使いきれずに余らせてしまうからだ。

また、パーキンソン病は、脳の黒質と呼ばれる細胞が死んでしまうことで起きる病気だが、最近、古くなったミトコンドリアを除くことができなくなって起こる病気と分かってきたという。古いミトコンドリアばかりになると、効率よくエネルギーがつくれなくなり、体に害を及ぼす活性酸素が発生しやすくなる。そのために神経細胞が殺されてしまう。「エネルギーをつくる能力をアップさせることができれば、体力がアップする上、若々しく太りにくい体になる。このエネルギーをつくる能力のアップこそ、体を若々しくする機能の正体で、それはミトコンドリアの量を増やすこと」(太田教授)
最近は、ミトコンドリアの数が割合簡単に増えることがわかってきた。
自転車こぎやジョギングなど、やや強めの有酸素運動を行うだけでミトコンドリアが増える。1日2時間自転車に乗る運動を1週間続けると30%もミトコンドリアが増える実験結果が出ている。
「運動してハアハアしなくなるのは、体に取り込んだ酸素をミトコンドリアが有効に使えるようになったということ。ミトコンドリアの量が増えると、質もよくなり、効率よくエネルギーをつくれるようになる」(太田教授)
太田教授によると、ミトコンドリアを増やすには、

①やや強めの有酸素運動をする
②背筋を伸ばす
③寒さを感じる
④空腹を感じる

この4つ。いずれも最新の論文に裏付けられている。
神経細胞のミトコンドリアを増やすには、脳の血流を増やす。運動は間接的に脳の血流を増やすことになるのでお勧めという。また新しいことに興味を持つことも脳の血流を増やすことになる。
太田教授は「ミトコンドリアの量が増えれば、エネルギー生産時の活性酸素の発生も抑えることが分かってきた。生命の根源であるミトコンドリアを増やせば、10年ぐらいは簡単に若くなるはず」と話している。