iPS細胞 他人への移植容認…厚労省  臨床研究指針の改正案

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読売新聞 2010年7月1日

 厚生労働省の専門委員会は30日、再生医療の切り札とされる人のiPS細胞(新型万能細胞)を、臨床研究に使う際の指針の改正案をまとめた。4月にまとまった素案は、患者本人の細胞から作ったiPS細胞に限って研究を認めていたが、「iPS細胞の長所を生かせない」(開発者の山中伸弥・京都大教授)といった批判を受け、他人への移植も容認した。同省は8月中に改正指針を正式に発表する。
 iPS細胞は、皮膚などの細胞に3~4種類の遺伝子を組み込んで作る。神経や心筋など体の中の様々な細胞に変化できるが、がん化しやすい性質がある。このため、改正案は、安全性の厳格な確認と移植後の長期的な経過観察を求めた。さらにウイルスに感染した他人の細胞を使って感染を拡大させないよう、iPS細胞の十分な品質管理も定めた。研究計画は、研究機関の倫理委員会と厚労省で2段階の審査を行う。
 患者本人の細胞に限定する素案に対しては、「拒絶反応が少ない細胞から、あらかじめiPS細胞を作っておき、これを複数の患者に使う方が効率がいい」などの反対意見が相次いでいた。
 委員長の永井良三・東京大教授は「適正な臨床研究を行う土台ができた」と話している。

*協会からのコメント
「脳梗塞のマウスにIPS細胞を移植すると、巨大な腫瘍ができたと」3/23付けの毎日新聞の記事をこの欄で紹介した。
医療の現場では、他人の腎臓をもらったが拒絶反応を起こして透析に戻る例がたくさんある。このような現状を考えると、まだ、実験段階のうちから他人にIPS細胞を移植するという決定は大丈夫なのだろうか。
移植に当たって、安全性の厳格な確認をするというが、誰にも適用できる安全基準ができるのだろうか。また、移植後の長期的な経過観察とあるが、これは移植した細胞が拒絶反応を起こしているかどうかを確かめるだけの観察にはならないだろうか。IPS細胞の早期開発が待たれるところだが、功を焦って人命を軽視するようなことのないことを祈りたい。