2010.3 Tさん(60代・女性)静岡県在住 脊髄小脳変性症

脊髄小脳変性症のTさんがご夫婦で見えた。
まず、最初にTさんからのお話があったようだが、入室が間に合わなかったためここでは割愛。
その後トレーナーからの内臓トレーニングの考え方の、お話がある。


人はご飯を食べて呼吸をして生きていくが、同様に60兆個の各細胞も栄養が必要である。栄養を運ぶのは血液である。血液が下に行くのは比較的簡単だが、全身をめぐらせるには心臓とふくらはぎのポンプ機能が大事になってくる。

例えば、細胞の弱りや死滅には以下のような悪循環が考えられる。
酸素などの栄養が足りなくなるとそれを脳が察知し、ポンプ機能ががんばる→(血圧があがる)→高すぎると病院で降圧剤が出る→(血圧が下がる)→本来必要だったところがあってポンプが機能したのに、栄養がいっていない、良薬さえも細胞まで届けられない→細胞が弱る
これの悪循環を抜けるために、機械を使って各部位に適した周波数で血流をよくすることが改善の方法となってくる。それが内臓トレーニングである―


すごく略すと、こういった内容であったと思う。

最初に通電が始まり、その後筋肉の硬結部分をほぐした。
Tさんの場合、足指と首肩、腰がひどかったようで、うつ伏せになったときに背中がこんもり盛り上がったように丸くなっていた。それを部分ごとにほぐすのだが、歯をくいしばるような痛みがあるようだった。しかし、施術中の苦痛の表情は、後に喜びの表情に変わることとなった。
もう一度通電後、足裏通電のためにベッドに起き上がり首のストレッチ。
ここで、Tさん夫妻も私もずいぶん驚いた。
こんもり丸くなった背中がまるで違和感なく伸びていた。私は触っていないので見た目だけであるが、最初は背中が丸くなって背中側の筋は引っ張られ、胸側の筋が収縮したまま固まっているように見えた。私も肩こりがひどいので良くわかるが、そうそう簡単にほぐれない大きな凝りの塊のようにも見えた。
だが施術後、背筋を伸ばしたらその丸い背中が幾分良くなっている…、ではなく、「完全に」伸びているのである。
ご本人も嬉しそうに「頭も軽くなった」と言う。ご主人も不信感が解けたように奥様の背中をたたいて喜んでいらした。


こうなると嬉しいから、がぜんやる気が出る。(ご主人の不信感も消えるから空気が変わる)歩行の練習も前向きに取り組んでいらっしゃるようで、自宅でのストレッチの仕方の説明では、ご主人も加わった。

最初の通電前、ソファからベッドへ向かった時の歩行に比べると、気持ちが軽くなっていることが見てわかる。まだまだ可能性があることがわかり、気持ちが外へ向いたのだと思う。


闘病中の本人は苦しみを他人にはわかってもらえない。
自分のことであれど、闘病中の不安の最中に苦しみを伝えきる表現力はなかなか伴わないと思う。(体の苦しみを他人にわかってもらえるとしたら、その人は小説家になれる、と私は思う。)
だからかどうかわからないが、ご主人が最初の面談時に「やる気になればできるはずだけどなぁ」とおっしゃっていた。
(Tさんは心身ともに不安が多く、同じことをやるにしろ、必要なモチベーションは健常者とは違うだろう。)
とはいっても、ご主人としても、Tさんにやる気がないことを責めているわけではなく、自分が替わってあげられるなら替わってあげたい、そしてたくさんトレーニングして治してあげてしまいたい。(と、思っているかもしれない。わからないけれど)また、第三者としてもどかしいのかもしれない。

つまり、どんなに支えあっていてもお互いに独立した人間だから、自分が自分を知った上で、自信を持って良くなろうとする事が大事だということ。
トレーナーが「自分の体を信じること、信じなかったら自分の体に申し訳ない」とおっしゃっていたが、まずは最初に自分が信じないと、誰も良くならないのである。


体が不調なら、気持ちも不調になる。気持ちが不調なら、体も不調になる。逆に、気持ちが上向きであれば、体も上に向くはずである。
内臓トレーニングは、寝ながらやれば細部まで栄養が届く。簡単なストレッチをちょっとやればよい。そして、自宅でのリハビリは…ご主人に手を取ってもらって楽しいお散歩をして、気持ちよく体を動かせたら、苦しむことなく自然にもっと良くなっていけるのかもしれないと、トレーナーのお話の中で希望を感じた健康教室であった。