腎臓病薬 血管通じ患部に送達
東大が動物実験特殊鋼分子で包む
2010.3.8 日本経済新聞より
東京大学の藤田敏郎教授と大学院生の清水英樹氏は腎臓病の新たな治療法を開発した。腎臓病薬を特殊な高分子材料で包み、毛細血管を通じて患部に送る。動物実験で効果を確認した。成果はアメリカの腎臓病学会誌の電子版に掲載された。開発したのは腎炎の治療法。患部に薬を送り込むDDS(薬物送達システム)と呼ばれる手法で、腎臓病では初めてという。腎炎は「メサンギウム細胞」の炎症で怒る。二重鎖リボ核酸を使えば治療できるが、二重鎖リボ核酸をそのまま血液に入れると1~2分で効果がなくなる。そこで高分子材料で二重鎖リボ核酸を包み、メサンギウム細胞に繋がる毛細血管の隙間から患部に送り込んだ。腎炎の患部はマイナスに帯電しており、高分子材料をプラスに停電させ薬剤が患部に引き寄せられるようにした。マウスの実験で組織改善を確認した。腎臓は糖尿病を契機に悪化することが多く、糖尿病約を使いながら腎臓も直す間接的な治療法を実施することが多い。腎臓病を直接治す手法が確立すれば治療効果の向上が期待できるという。
コメント1 DDS(薬物送達システム)の開発は急務である。普通、薬は胃や腸から、注射の場合は腕から血液に溶けて体内に取り入れられる。だから、薬は心臓を経由し全身を駆け巡ることになる。このため、少なくとも2つの問題が発生する。一つは、薬効は患部だけに留まらず元気な細胞にも効く場合があり、最悪の場合副作用として正常な細胞を壊してしまうことだ。
もう一つの問題は、病気の発症理由は、極論すると患部の細胞に血液が行き届かないからだ。ということは酸素と栄養も行き届かない。血液が行き届かなければ同じ理屈で薬も患部には届かないことになる。今、医学界でやっとDDSの研究が始まった。この研究が進めば薬は患部に直接働きかけ、副作用のない薬物治療が可能となるだろう。
コメント2 同日の同紙の同じページに全国普及制度面に課題―医師主導の治験目指すー
とのタイトルで医療制度の問題点が書かれていた。その最後のところで、
「海外から、『動物の治療は優れている。』と冷やかされる日本の医学研究。研究発表は多いが患者の治療に生かされていないとの皮肉だ。」と書かれていた。こんな評判を早く払拭し、はやく研究成果が治療の形で実現して欲しいものだ。




